観察日記の一覧
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4月の観察日記(植物)
徳之島に生育するスミレの仲間に、ヤクシマスミレという種があります。徳之島のほかは、屋久島・奄美大島・沖縄島の北部に分布し、山地の限られた場所に生える植物です。4月のある日、センター職員で山登りをした際、苔の繁茂した岩の上に、小さな白い花がいくつも咲いているのを見つけました。よく見るとこの花です。花は1円玉よりも小さく、株全体も掌に収まるほどの小さなこのスミレ。白い可憐な花は、花弁5枚でできており、そのうち中央にある一枚だけに、スミレ色の線がアクセントとして入ります。徳之島世界遺産センターに帰ってから、ジオラマ展示『いのちのにぎわい箱庭』の『山頂の森』エリアにあるヤクシマスミレのレプリカを見てみました。実物を見た後なので、実際の姿とその生育環境がうまく表現されていることにあらためて感心しました。
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4月の観察日記(動物)
4月、徳之島の森ではさまざまな生きものたちが繁殖期を迎え、特に夜にはその活動を間近に感じることができました。雨上がりのしっとりと濡れた森を歩けば、重なり合うアマミアオガエルの姿が。また、池のほとりでは、ヒメハブのオスとメスが寄り添っている姿も見ることができました。そして、耳を澄ますと聞こえてくるのがリュウキュウコノハズクの鳴き交わしです。「コホゥ、コホゥ」というオスの呼びかけに、メスが「ミャッミャッ」と応えるやり取りはこの時期ならではの光景です。5月に入り、さらに気温が上昇すると、島はいよいよ梅雨の時期を迎えます。季節の移り変わりとともに、またその時期ならではの生きものたちと出会えるのが楽しみです。
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3月の観察日記(動物)
この冬も、徳之島には数多くの渡り鳥や海洋生物が飛来・回遊していました。冬を越すためにこの島を選んだ生きものたちの季節が一区切りを迎えようとしています。その中でも、猛禽類の仲間たちやザトウクジラは特に私たちの目を楽しませてくれました。海岸沿いでは鋭い視線で獲物を探し、急降下するミサゴ。農耕地の上空では「ピックイー」という特徴的な鳴き声のサシバや、ホバリングをして獲物を探すチョウゲンボウの姿が。さらにはノスリやハヤブサなど、島内各地でその姿を見ることができました。そして、青い海に目を向ければ、繁殖や子育てのために南下してきたザトウクジラのブロー(肺呼吸をするクジラが海面で息を吐きだす様子)やブリーチング(クジラが海面から身体を飛びださせるジャンプ)をする姿を見ることができました。サシバは環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類(VU)に、ハヤブサは準絶滅危惧(NT)に指定されており、ザトウクジラもかつては絶滅の瀬戸際に立たされていた歴史があります。身近な存在でありながら、実はとても稀少な生きものたち。次の冬もまた、彼らが徳之島へ帰ってこられるよう、私たちに出来る環境保全について考えていきたいですね。
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3月の観察日記(植物)
3月になると、山ではさまざまな花が咲き、山歩きがとくに楽しい季節となります。この時期、とくに印象的なのは白い花たちです。春先の代表的な花のひとつであるサクラツツジは、白地にピンクがかった赤色のアクセントのある美しい花を咲かせます。背の高い木なので、その花を見るのは少し難しいのですが、木の下には咲き終わった花がたくさん落ちており、その上で花が咲いていることを教えてくれます。エゴノキは下を向いて咲く清楚な白い花を、たくさん咲かせる木です。その下は、サクラツツジ同様にたくさんの花が落ちていて、とても華やかになります。高さ1mほどの低木ながら、透明感のある純白の花を下向きに咲かせるリュウキュウイチゴも、咲き誇っていました。その下に入り込んで、花の写真を撮りました。
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2月の観察日記「動物」
2月の徳之島は雨の日が増え、湿度も一段と高まってきました。この湿り気に誘われるように「アマミイボイモリ」の活動も活発になっています。アマミイボイモリは徳之島、奄美大島、請島にのみ生息する固有種です。現在は環境省レッドリストで絶滅危惧II類(VU)や鹿児島県の天然記念物に指定されています。2月の観察では1匹でのんびり歩く姿のほかに、2匹が隣り合ってじっと寄り添っている様子も見られました。アマミイボイモリの繫殖期のピークは2月頃。この時期、水辺の近くではこうして複数の個体が集まったり、寄り添ったりする姿が見られるようになります。イモリ科の中では原始的な姿を留めているとされているアマミイボイモリ。彼らが長い時間の中で、姿を変えずに命をつないでこれたのは、徳之島の豊かな自然があったからこそ。この貴重な生きものたちがこれからも安心して命をつないでいける環境を大切に守り続けていきたいですね。
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2月の観察日記「植物」
2月も下旬になると寒気が入ることもなくなり、島は急に春めいてきました。徳之島北部にある天城岳の山肌は、新緑でまだら模様となっています。オキナワウラジロガシの森も落ち葉がハラハラと舞い、葉の更新が進んでいます。そんな森を通る林道歩きの際、エコツアーガイドさんに教えていただいた地味な木。シマミサオノキという名で、背丈より大きいくらいの小さくて細い木です。よく見ると、葉脈が浮き出た少し変わった葉っぱをしています。この木は、材にねばりがあって折れにくいので、昔は道具の柄や釘の代わりなど、さまざまな用途に使われるとても大事な木でした。また、沖縄では神聖な木として、魔除けなどに用いられることで知られています。
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1月の観察日記「植物」
1月のある日、センターの職員で外歩きをした際、カラスウリの仲間の実を2種類みつけました。そのひとつが、海岸のアダンの茂みに生えていたケカラスウリの実。鮮やかな赤色が目立ちます。ビワの実くらいの大きさで、先が細長くのびるという特徴があります。もうひとつは、林に生えていたオオカラスウリの実。鶏卵よりやや大きい、オレンジ色をした実が、長いつるで木からぶら下がっていました。この実のみどころは、その中身です。実を割ると、中には暗緑色の果肉と種。腐っているのではなく、もともとこんな色をしているのだそうです。どんな生きものが、こんな色の果肉を食べて、その種を運ぶのでしょうか?
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1月の観察日記「動物」
1月も下旬を迎え、人間にとっては寒さが身に染みる季節ですが、森の中では生きものたちが命をつなぐための活発な営みを観察することができました。先日、アマミアオガエルの泡巣(あわす)を確認するため、森の中のとある水辺を訪れました。島の方言で「ビッキャ」や「アッタラ」の名で親しまれているこのカエルは、冬から春にかけて繁殖期を迎えます。この日も、水辺の周りに彼らが産み落とした「泡巣」がいくつか確認できました。静かな森に「キャラララ」という美しい鳴き声が響き渡っていました。その水辺のすぐ近く、足元に目を向けると、そこには徳之島最大のカエル、アマミハナサキガエルの姿が。さらにそのすぐ近くには、じっと息をひそめるヒメハブの姿も。ヒメハブは比較的低温に強く、冬場に繁殖するカエルも捕食します。この日、目の前に広がっていた光景は、まさに徳之島の豊かな生物多様性そのものでした。
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12月の観察日記「動物」
冬の気配が深まり、徳之島の空に「ピックイー」という澄んだ声がよく響くようになりました。その声の主は、秋の渡り鳥として知られるサシバです。本州・四国・九州では夏鳥として親しまれているサシバですが、奄美群島では冬鳥として秋から春にかけて島で過ごします。そのため徳之島では、サシバの声が聞こえ始めると「秋が来たなぁ」と感じる方も多く、季節の移ろいを告げる鳥として島の人々に親しまれてきました。サシバは農地や山地で生活しています。木の枝や電柱の上にとまり、じっと周囲を見渡しながら、餌となる昆虫やネズミを探す姿がよく見られます。サシバは猛禽類の中でも比較的環境適応力が高く、里山や人の暮らしに近い環境を利用しながら狩りを行うことが知られています。空高く舞う姿も美しいですが、静かに佇むその様子には、どこか凛とした風格があります。遺産センターのテラスに出てみると、運が良ければ、このあたりに住み着いているサシバの姿や鳴き声を確認することができます。ご来館の際は、ぜひ空や周囲の電柱にも目を向けてみてください。サシバとの出会いが、季節を感じるひとときになりますように。
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12月の観察日記「植物」
年末のある日、センターの職員総出で、正月に飾る門松作りをしました。門松は、徳之島の多くの家で、正月に門前に飾られます。もともと奄美群島では、正月に竹と松の枝、シイの枝などを束ねて門に飾る風習がありました。それが今では、竹の幹と松の枝がメインの、全国的にある正月飾りの門松に変わってきたようです。それでもこの島の門松は、在来の植物を野山から切ってきて自作することが多く、そのため独自の材料を使うという特徴があります。徳之島世界遺産センターでも、オープン以来初めてとなる門松を作ることにしました。竹のほか、松として在来種のリュウキュウマツ、シイ、ヒメユズリハ、そして鮮やかな実がアクセントとなるセンリョウも使います。まず、ノコギリで斜めに切った竹を束ねます。そして束ねた竹を鉢に入れ、松やシイ、その他の材料を竹の周りに配置して、門松が完成しました。この門松は、年末年始の間、センター入口に飾られます。
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