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8月の観察日記「動物」
暑さの続く8月。徳之島の森では、夏らしい生きものたちの姿や声に出会いました。夜の明かりにやってきたのは「トクノシマヒラタクワガタ」。幅広く平たい体をしていて、黒くつやのある姿はまるで漆器のよう。じっと眺めていると、思わず「かっこいいなぁ」と声に出したくなるほどです。ため池の周りを歩いていると、カエルの声に交じって足元に「ヒメハブ」が現れることもありました。今は産卵の時期で活動が盛んです。島では俗に「マムシ」と呼ばれています。そして夏の森を彩ってくれたのが「リュウキュウサンコウチョウ」のさえずりです。8月のはじめには、高い頻度でその澄んだ声を聴くことが出来ました。ところが月の終わりになると、急にその頻度は少なくなってしまいました。夏鳥である彼らが渡っていく時期なのだと思うと、少し寂しさを感じます。夜の昆虫やヘビ、そして夏鳥…。季節の移ろいとともに、生きものたちの暮らしも変わっていきます。来月はどんな出会いが待っているでしょうか。
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8月の観察日記「植物」
徳之島世界遺産センターでは、3月から開催している企画展『ハブ展』にあわせて、カウンターでも関連するハンズオン展示をおこなっています。その中で、子どもたちに人気なのが、「指ハブ」という八重山諸島(沖縄)の伝統的なおもちゃです。これは植物を編んで作った細長い筒のようなもので、“口”の部分に指を入れて、ひも状の“尾”をひっぱると、全体が締まって指が抜けなくなるというものです。展示した3個の指ハブは、たくさんの指にかみついた結果、だいぶくたびれてしまいました。指ハブの材料は、おもにクロツグ(石灰岩地の森に多い背の低いヤシの仲間)やアダン(海岸に多い常緑小高木)の葉です。これら2種は奄美群島でも自生しており、クロツグは徳之島でマーニなどと呼ばれます(写真は当センター『いのちのにぎわい箱庭』にあるクロツグのレプリカ)。なお、カウンターの指ハブを見て「知ってる」と言う島の人が意外と多くいました。じつは徳之島空港の土産物店で、以前は指ハブが売られていたのだそうです。現在でもミニサイズのものがときおり販売されているようです。
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7月の観察日記「動物」
7月の森では、さまざまな出会いがありました。林道を歩いていると、葉の上で休んでいる「アマミハンミョウ」と出会いました。奄美大島、加計呂麻島、徳之島にのみ生息する昆虫です。徳之島では背面の大部分が青色の個体が多く、その美しさから「森の宝石」とも呼ばれます。目の前を颯爽と飛んでいった赤い鳥の正体は「リュウキュウアカショウビン」です。真っ赤なくちばしと羽、そして丸くて優しい眼が特徴的な夏鳥です。東南アジアからはるばるやってきた彼らとの出会いは、とても感動的です。そして夏といえば、セミの大合唱。なかでも「シャーシャー」と迫力のある鳴き声を響かせているのは「クマゼミ」です。そんなクマゼミも、羽化したばかりの姿はとても静かで、どこか神秘的。そのはかなくも美しい姿に、思わず見とれてしまいました。
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7月の観察日記「植物」
アダンは海岸に多く生える常緑小高木で、細長くてふちにとげのある葉を茂らせます。7~8月頃、まるでパイナップルのような大きな実を付けます。この実ははじめは緑色ですが、しだいに橙赤色に色づきます。熟した実は甘い香りを放ち、アマミヒヨドリなどがついばむほか、地面に落ちたものにはヤドカリ類が集まってきます。
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6月の観察日記「動物」
6月に出会ったのは、ひときわ目を引く体色の「ヒャン」。その色は徳之島でしか見ることのできない限定カラーです。海辺では、美しい貝殻を背負った「ムラサキオカヤドカリ」が、産卵の時期を迎え、いのちをつなぐために海へと向かっていました。森で耳を澄ますと「アマミコゲラ」のドラミングの音が聞こえます。繁殖期を迎えた日本最小のキツツキの、奏でる大きな音が印象的でした。
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6月の観察日記「植物」
徳之島では畑の周囲や庭など、あちこちに植えられているソテツ。ソテツは、その葉が畑の緑肥になるほか、実や幹が食料になるなど、人々の暮らしとも深くかかわってきた植物です。そのソテツは、梅雨のさなかに開花期を迎えます。ソテツにはオス株とメス株があり、それぞれの株は違う形の花を咲かせます。オス株の花は塔のような形、メス株の花は丸い形です。どちらも大きく、明るい色で目立ちます。大切な食料であったソテツの実をならせるため、昔は花の時期に受粉作業を行うこともありました。そのやり方は、オス株の花をばらばらにして、長いひしゃくでメス株の花にかけるといったものだったそうです(盛口, 2024, p. 220)。なお、ソテツの実には毒があるので、毒抜き等の処理をしないと食べることができません。こうした処理を施したソテツの実で作る味噌(なり味噌)は、今も島の売店などで売られています。文献盛口満. 2024. 琉球植物民俗事典 聞き書き 琉球列島の植物利用. 八坂書房, 東京.
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五月の観察日記「植物」
徳之島は、例年5月中旬に梅雨入りします。島でちょうど同時期に開花する、「梅雨入りを告げる花」がいくつかあります。そのひとつはイジュの花。ツバキ科の高木で、ツバキに似た白い花を咲かせて目立つ木です。イジュは在来種ですが、植栽されたものがよく見られます。材は建築用材などとして使われるほか、かつては樹皮を、魚を捕るための魚毒として利用していました。 もうひとつは、コンロンカの花です。アカネ科のつる植物で、林道沿いや道路わきなどでよく見られます。花の本体よりも、花を囲む葉が白くて、とても目立ちます。島での方言名は、「童泣かせ」を意味する「われなかさ」や「われなかしかんじゃ」(「かんじゃ」はつる植物のこと)。昔は子どもの仕事でもあった薪集めの際、薪をくくるためのつるとしてコンロンカを選んでしまうと、つるが切れやすくて困ることに由来するのだそうです。
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五月の観察日記「動物」
5月の森には、ひそやかな色が灯りました。木の上から瞳を光らせるのは、リュウキュウコノハズク。その褐色の羽は、闇の中で溶け込む術。そして夜の森の中で赤い瞳を光らせるのは、オビトカゲモドキ。漆黒に浮かぶ縞模様は、とても幻想的です。林道をそっと歩くのは、アマミヤマシギ。太くて長いくちばしに、淡褐色の体。一目会えば、もう一度会いたくなる存在です。徳之島に広がる、小さな自然のきらめきを感じることが出来ました。
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四月の観察日記「動物」
春の足音とともに、あたたかな日差しに包まれる4月は様々な生きものたちと出会うことが出来ました🌸その一部をご紹介します。たとえば森の中、澄んださえずりと特徴的な赤い羽根と黒い胸が目を引くアカヒゲ。夜の池には、アマミアオガエルのペア。しっとりとした空気の中、夜の気配とともに静かに姿を現します。そして木の幹に目を凝らせば、ぴたりと張り付くように潜むオキナワキノボリトカゲ。木肌にまぎれながらも、その愛らしい姿にはつい目を奪われてしまいます。こうした出会いは、ほんのわずかな時間かもしれません。けれど、徳之島の自然の豊かさを語りかけてくれる瞬間でもあります。5月はどんな出会いが待っているのでしょうか。
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四月の観察日記「植物」
4月のはじめ、アオバナハイノキの花を見に行きました。3~4月に1cmほどの大きさの淡い青紫色の花が多数咲き、木全体が華やかになります✨個々の花をよく見ると、花粉の鮮やかなオレンジ色がアクセントになっています。この木は徳之島では、南部の森に局所的に生えています🌳開花期間が短いこともあって、花を見ることが難しいと言われます。また、この木は徳之島以外では、沖永良部島と沖縄島北部にしか自生しません。徳之島でアオバナハイノキが見つかったのは、わずか10年ちょっと前の2014年のこと。徳之島の自然には、まだまだ未解明の部分が残されているであろうことを、林道わきで咲き誇るこの木は教えてくれます。
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