観察日記の一覧
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11月の観察日記「動物」
世界遺産地域を通る林道に、夜の生きもの調査に行きました。夜はだいぶ涼しくなってきたこの時期、夏の間は見かけなかった生きものたちが出てくるので、林道歩きが楽しくなります。散らばるシイのどんぐりを踏みながら歩いていくと、いつもいるオビトカゲモドキがさっそく出迎えてくれました。渓流沿いの道では、ところどころにアマミハナサキガエルがたたずんでいます。産卵が本格化する時期を前に、メスのお腹はふくらんでいます。近くの渓流では、なわばりでもあるかのように、岩の上にオスが陣取っていました。林道の水たまりでは、めずらしい生きものがいました。アマミアカガエルのオスたちです。繫殖期の彼らは、水たまりで、まるでお風呂につかるようにしながら、小さな声で鳴いてメスがやってくるのを待ちます。繁殖期以外は森の中で暮らし、林道でもあまり出会うことがないこのカエル。神経質でさっさと逃げてしまうので、写真を撮るのも苦労します。そして渓流沿いには、りっぱなハブも。倒木の上で川の方を向いて、なにかを待ち伏せしていました。そのほか、めったに見られないトクノシマトゲネズミが足元の茂みから駆け出していくなど、徳之島の森歩きらしい、充実した自然観察になりました。
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11月の観察日記「植物」
畑の脇や道ばたで、熟したソテツの実の鮮やかな色がのぞく季節になりました。ソテツが身近な徳之島ではこうした風景はおなじみですが、いつまでもそうではないかもしれません。奄美群島では2022年以来、東南アジア原産のソテツシロカイガラムシが猛威を振るっています。この虫はソテツの葉などに群がり、汁を吸って葉を黄褐色にさせ、ひどい場合は枯死させてしまいます。喜界島や加計呂麻島、請島、そして群島外の沖縄島でも侵入が確認されているほか、最初の侵入地である奄美大島では、ソテツが広範囲で壊滅的な被害にあっています。そのソテツシロカイガラムシが、ついに徳之島のソテツでも相次いで発見されました。島の玄関口である亀徳新港そばのソテツはそのひとつで、すみやかに伐採・処分され、跡地には薬剤がまかれました。島の北東端の金見地区でも樹齢300年と言われるソテツ並木に予防のための薬剤散布が行われました。代表的な観光地であるとともに、歴史的に重要なこの並木。今後も島内における被害拡大防止への取り組みが急務となりそうです。
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10月の観察日記「動物」
10月の森では、秋の訪れを感じる出会いがありました。日中に森の中を歩くと、あちこちから「カンカンカン」と鐘のように響くオオシマゼミの特徴的な声が聞こえてきます。オオシマゼミは日本産ツクツクボウシ属の中で最大の種です。この時期に成虫出現のピークを迎えるオオシマゼミの鳴き声を聞くと、徳之島に秋が訪れたことを感じます。夜の森では、アマミノクロウサギの「ピューイッ」という高い鳴き声も聞こえてきます。徳之島の自然を代表する固有種である彼らが、秋から冬にかけて活動的になり、元気に森を駆けまわる姿を見ると、改めて徳之島の命の豊かさを感じます。また、暗がりの森の中で出会ったカワセミも印象的でした。光沢のある青緑色の頭や翼の上面と、鮮やかな青色の背中。その美しい姿がライトで映し出され、まるで宝石のように幻想的でした。森の中で感じる風も少しずつ涼しくなり、秋の深まりを感じます。11月の森ではどんな生きものたちに出会えるでしょうか。
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10月の観察日記「植物」
徳之島の森の生態系の中心的存在であるオキナワウラジロガシやイタジイ。そのどんぐりの実の付き具合を調べる調査に参加しました。島内の世界遺産地域のとある森。歩道沿いにあるオキナワウラジロガシとイタジイの20本ほどが調査対象の標本木(ひょうほんぼく)となっています。調査では双眼鏡で標本木の梢を30秒ずつ数か所見て、見つけたどんぐりをカウントします。ずっと上を見ていると首が痛くなるので、なかなか大変な作業でした。こうした地道な調査の結果、どんぐりが多くできる『豊作』の年と、ほとんどできない『凶作』の年があることがわかっています。オキナワウラジロガシは、この日調査したすべての木で、どんぐりを見つけることができませんでした。去年に引き続き、今年も徳之島ではどんぐりが凶作のようです。一方、イタジイはある程度実を付けているものがほとんどで、鈴なりのどんぐりを多数数えられた木もありました。指導をしていただいた先生によれば、どんぐりの豊作・凶作は、どんぐりを食べるカラスバトやトクノシマトゲネズミ、ケナガネズミの子育てにも影響を与えるそうです。どんぐりをつけるカシやシイは、これら森の生きものたちの命を支える大事な木であることを実感した1日でした。
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9月の観察日記「動物」
ウミガメ調査員の政さんにご案内いただき、アオウミガメの産卵と孵化の様子を観察することが出来ました。夜の浜辺で出会った光景は、まさに奇跡の瞬間でした。アオウミガメは一生のほとんどを海で過ごし、陸に上がってくるのは産卵の時だけ。産卵期になると、ほぼ2週間おきに浜に上陸し、1シーズンに数回産卵を繰り返します。しかし、上陸しても、砂浜の環境が産卵に適していないと判断すれば、産卵しないこともあります。砂浜に穴を掘り、卵を産み落とし、静かに海へ帰っていく姿は何度見ても胸を打たれます。産卵から2か月後、孵化した小さな命たちは砂の中から這い出し、海へと旅立ちます。波へと吸い込まれるように進んでいく姿は、自然の営みの尊さを改めて教えてくれました。この貴重な体験を通して、徳之島に息づく自然の豊かさと、未来へつながる命の力強さを感じると同時に、この自然環境を保全継承していくことの大切さを痛感しました。
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9月の観察日記「植物」
徳之島の世界遺産地域近くにある森を歩いると、木の下で、白い目立つ花を付けているランに気付きました。ツルランという種で、漢字で書くと「鶴蘭」。花をツルの群れに見立てたそうです。ツルというよりは、人型に見える花をたくさん付け、暗い林床で咲いています。
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8月の観察日記「動物」
暑さの続く8月。徳之島の森では、夏らしい生きものたちの姿や声に出会いました。夜の明かりにやってきたのは「トクノシマヒラタクワガタ」。幅広く平たい体をしていて、黒くつやのある姿はまるで漆器のよう。じっと眺めていると、思わず「かっこいいなぁ」と声に出したくなるほどです。ため池の周りを歩いていると、カエルの声に交じって足元に「ヒメハブ」が現れることもありました。今は産卵の時期で活動が盛んです。島では俗に「マムシ」と呼ばれています。そして夏の森を彩ってくれたのが「リュウキュウサンコウチョウ」のさえずりです。8月のはじめには、高い頻度でその澄んだ声を聴くことが出来ました。ところが月の終わりになると、急にその頻度は少なくなってしまいました。夏鳥である彼らが渡っていく時期なのだと思うと、少し寂しさを感じます。夜の昆虫やヘビ、そして夏鳥…。季節の移ろいとともに、生きものたちの暮らしも変わっていきます。来月はどんな出会いが待っているでしょうか。
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8月の観察日記「植物」
徳之島世界遺産センターでは、3月から開催している企画展『ハブ展』にあわせて、カウンターでも関連するハンズオン展示をおこなっています。その中で、子どもたちに人気なのが、「指ハブ」という八重山諸島(沖縄)の伝統的なおもちゃです。これは植物を編んで作った細長い筒のようなもので、“口”の部分に指を入れて、ひも状の“尾”をひっぱると、全体が締まって指が抜けなくなるというものです。展示した3個の指ハブは、たくさんの指にかみついた結果、だいぶくたびれてしまいました。指ハブの材料は、おもにクロツグ(石灰岩地の森に多い背の低いヤシの仲間)やアダン(海岸に多い常緑小高木)の葉です。これら2種は奄美群島でも自生しており、クロツグは徳之島でマーニなどと呼ばれます(写真は当センター『いのちのにぎわい箱庭』にあるクロツグのレプリカ)。なお、カウンターの指ハブを見て「知ってる」と言う島の人が意外と多くいました。じつは徳之島空港の土産物店で、以前は指ハブが売られていたのだそうです。現在でもミニサイズのものがときおり販売されているようです。
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7月の観察日記「動物」
7月の森では、さまざまな出会いがありました。林道を歩いていると、葉の上で休んでいる「アマミハンミョウ」と出会いました。奄美大島、加計呂麻島、徳之島にのみ生息する昆虫です。徳之島では背面の大部分が青色の個体が多く、その美しさから「森の宝石」とも呼ばれます。目の前を颯爽と飛んでいった赤い鳥の正体は「リュウキュウアカショウビン」です。真っ赤なくちばしと羽、そして丸くて優しい眼が特徴的な夏鳥です。東南アジアからはるばるやってきた彼らとの出会いは、とても感動的です。そして夏といえば、セミの大合唱。なかでも「シャーシャー」と迫力のある鳴き声を響かせているのは「クマゼミ」です。そんなクマゼミも、羽化したばかりの姿はとても静かで、どこか神秘的。そのはかなくも美しい姿に、思わず見とれてしまいました。
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7月の観察日記「植物」
アダンは海岸に多く生える常緑小高木で、細長くてふちにとげのある葉を茂らせます。7~8月頃、まるでパイナップルのような大きな実を付けます。この実ははじめは緑色ですが、しだいに橙赤色に色づきます。熟した実は甘い香りを放ち、アマミヒヨドリなどがついばむほか、地面に落ちたものにはヤドカリ類が集まってきます。
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